課題
この支援先では、自社サイトの記事、SNSの投稿、メルマガといったコンテンツの制作を担当者1名で回しており、月60本が限界でした。この種の業務では、テーマを考え、商品の情報を集め、媒体ごとに書き分け、商品画像に合う言葉を添える、という作業を1本ずつ手で進めることになりがちです。
媒体が増えるほど、同じ商品について、記事・投稿・メルマガで書き方を変える作業が増えます。書く作業に時間を取られると、どのテーマを出すか、出したものがどう読まれたかを考える時間は残りにくくなります。
作った仕組みと画面イメージ
作った仕組み
- ブランドの指示の型 — ブランドのトーンや表現のガイドラインを、AIへの指示の型(テンプレート)に反映する
- 媒体別の下書き — SEO記事・SNS投稿・メルマガの下書きを、型に沿ってAIが作る
- 画像からの言葉の案 — 商品画像から、キャッチコピーとハッシュタグの案をAIが作る
指示の型には、たとえば、ブランドとして使う言い回しと使わない言い回し、文章の調子、媒体ごとの長さや構成を書いておきます。担当者はテーマと元になる商品の情報を渡し、出てきた下書きを確かめて仕上げます。

AIが出した下書きの一覧(例)
1つの商品とテーマから、媒体ごとの下書きをまとめて作ると、次のような一覧になります。どれを使うか、どこを直すかは担当者が決めます。
表は横にスクロールできます
| 媒体 | AIが出した下書き(要約) | 担当者が確かめること |
|---|---|---|
| SEO記事 | 「保温ボトルの選び方」。容量・重さ・洗いやすさの3つの観点で比べる構成 | 容量や保温の時間が、商品情報と合っているか |
| SNS投稿(画像つき) | 商品画像から「朝いれたお茶を、帰りの電車でも」などのキャッチコピー案を3つ | 保温の性能を、根拠のある範囲で書いているか |
| ハッシュタグ | 商品の用途・季節・使う場面を組み合わせた案を10個 | 他社の商品名や、関係のない話題のタグが混ざっていないか |
| メルマガ | 購入者向けに、手入れの方法と替えのパッキンを案内 | 価格・送料・案内の期間が正しいか |
| SNS投稿(短文) | 記事への誘導文を3案 | 同じ月の投稿とテーマが重なっていないか |
※架空の商品を例にした一覧です。
データの流れ(入力・AI・人の分担)
表は横にスクロールできます
| 段階と入力 | AIがやること | 人がやること |
|---|---|---|
| 型づくり入力: ブランドのトーン・表現のガイドライン | 型に沿って書く(以降のすべての下書きで使う) | ガイドラインを指示の型にまとめる |
| テーマの選定入力: 商品の情報、時期 | なし | テーマを選ぶ |
| 下書き入力: テーマと商品の情報 | SEO記事・SNS投稿・メルマガの下書きを作る | 事実と表現を確かめて直す |
| 言葉の案入力: 商品画像 | キャッチコピーとハッシュタグの案を作る | 案を選び、表現を確かめる |
| 公開と振り返り入力: 仕上げた原稿、公開後の反応 | なし | 公開を判断する。反応を見て本数とテーマを調整する |
※ 人の分担は、この種の仕組みでの一般的な例です。
効果
制作本数は、月60本から月180本になりました。担当者の時間は、1本ずつ書く作業から、テーマを選び、下書きを確かめて仕上げる作業に移り、コンテンツの戦略と効果の分析に時間を使えるようになっています。
※効果は業務内容・体制により異なります。
つまずきやすい点・注意点
- 本数を増やすと、似た内容の言い換えが増えがちです。テーマの重なりを確認し、公開後の反応を見て本数を調整します。
- 商品の効果・効能や価格の表示は、景品表示法などの法令に触れないかを人が確認します。化粧品や健康食品など、業種によってはさらに規制があります。
- SEO記事は、検索で上位の記事の言い回しをなぞると、独自の情報がない記事になりがちです。自社の商品を扱う担当者だからこそ書ける使い方や手入れの知識を、下書きに足します。
- ガイドラインが言葉になっていないと、型に入れられません。担当者の頭の中にある「このブランドらしさ」を、使う言い回し・使わない言い回しの例として書き出すところから始めます。
- 商品の仕様や価格は、渡した商品情報から書かせます。仕様や価格が変わったら、型と一緒に商品情報も更新します。
- 商品画像からの言葉の案には、画像に写っていない特徴が付け足されることがあります。写っている内容と商品情報に合っているかを確かめます。
自社で始めるなら最初の一歩
最初は、過去の記事や投稿からブランドの型を書き出し、1つのテーマで下書きを試すところから始めます。担当者が書いたものと比べると、型に足りない点が分かります。
- 過去に反応のよかった記事や投稿を5本ほど選び、共通する言い回し・調子・構成を書き出す
- 書き出した内容を指示の型にし、次に出す予定のテーマで下書きを作らせる
- 担当者が直した箇所と、その理由を型に書き足す。直す箇所が減ってから本数を増やす
型は一度作って終わりではありません。「言い回しが硬い」「商品の特徴を伝える順番が違う」といった直しの理由を書き足していくと、下書きがブランドの声に近づきます。社内でAIを使うときのルールは、社内AI利用ガイドラインの作り方も参考にしてください。
担当者より
この支援で重視したのは、ブランドのトーンや表現のガイドラインを、AIに渡せる指示の型にすることでした。型があれば、記事・SNS・メルマガのどれを書かせても、同じブランドの声で下書きが出てきます。担当者1名でも本数を増やせたのは、書き分けの作業を型が引き受けたからだと考えています。
一方で、何を出すか、出してよいかを決めるのは担当者です。テーマの選定、事実と表現の確認、公開の判断を人に残しておけば、本数が増えても、発信の責任を持つのが誰かは変わりません。本数が増えたときこそ、テーマの重なりと表現の確認を丁寧にすることを意識しています。
株式会社クロスタ 担当コンサルタント