Claude Codeは、日本語で頼むとファイルを読み、書き、実行して作業を進めるAIです。エンジニアだけでなく、資料の調査や表の集計など、非エンジニアの業務にも使われるようになってきました。
一方で、個人のアカウントで試すのと、会社として導入するのとでは、決めることが大きく変わります。この記事では、Claude Codeを会社で導入するときの手順を、Anthropic社の公式情報(2026年10月時点)にもとづいて整理します。
導入は5つの手順で進める
会社で導入するときは、「だれの契約で、どの設定で、どんなルールで使うか」を、使い始める前に決めておきます。

- プランを決める:Team・Enterprise・APIのどれで契約するか
- データの扱いを確かめる:入力した内容がどう扱われるか、どこに残るか
- 管理者の設定を配る:利用者に変えさせない設定を決めて配る
- 社内ルールとCLAUDE.mdを用意する:入力してよい情報、部門の用語・様式・禁止事項
- 研修で伝えて始める:なぜその設定・ルールなのかを全員に伝え、小さな業務から始める
手順1:プランを決める
Claude Codeは、Pro・Max・Team・Enterpriseのすべての有料プランに含まれ、チャットと同じ利用量の枠を使います。Freeプランでは使えません。会社で使う場合の選択肢は、次のとおりです。
| 契約 | 料金(公式・米ドル・税別) | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Team | 2〜150名。スタンダードシート 月20ドル(年払い)・25ドル(月払い)、利用量が5倍のプレミアムシート 月100ドル(年払い)・125ドル(月払い)。2種類の席を組み合わせられる | 中小企業や部門単位の導入。シングルサインオン(SSO)と管理者の設定が使える |
| Enterprise | 1シート月20ドル(年払い・最低20シート)に、APIの料金にもとづく利用量が加わる | 監査ログ、SCIM、Compliance API、データを保存しない設定(ZDR)などが必要な場合 |
| API(Claude Console) | 使った分の従量課金 | APIの請求で管理したい組織。クラウドでの実行など、claude.aiのアカウントが必要な機能は使えない |
※ 2026年10月20日時点のAnthropic社の公式情報にもとづきます。料金は米国のお客様向けの表示で、通貨と税の扱いは地域によって異なります。出典: Anthropic「プランと料金」、ヘルプセンター「Teamプランとは?」「エンタープライズプランとは何ですか?」、Claude Code Docs「組織向けに Claude Code をセットアップする」。
非エンジニアの部門で使い始める段階では、多くの場合Teamのスタンダードシートで足ります。資料の大量処理など利用量が多い人だけをプレミアムシートにする、という組み合わせもできます。監査ログやアカウントの自動管理が社内の規程で求められる場合は、Enterpriseを検討します。
手順2:データの扱いを確かめる
Anthropic社の公式ドキュメントでは、Team・Enterprise・APIなどの商用の契約では、Claude Codeに送ったコードやプロンプトをモデルの学習に使わないとされています。社内の規程と照らして確かめておきたいのは、次の点です。
- 学習への利用:商用の契約では既定で使われない。ただし、利用者が評価ボタンなどで明示的にフィードバックを送った会話は扱いが異なる
- サービス側の保存期間:商用の契約では標準で30日。データを保存しない設定(ZDR)は、Enterpriseで組織ごとに有効にする
- PCに残る記録:作業の記録は、利用者のPCの中にも一定期間(既定で30日)保存される。共用のPCや持ち出すPCで使う場合は、置き場所と期間を確かめる
- 個人向けプランとの違い:Free・Pro・Maxでは、設定によって学習に使われる。業務では会社の契約のアカウントで使うことをルールにする
※ 出典: Claude Code Docs「データ使用」、Anthropic Privacy Center「私のデータはモデルトレーニングに使用されていますか?」(2026年10月時点)。
あわせて、入力してよい情報の区分(公開・社内・機密など)を決めます。区分の決め方は、コラム「社内AI利用ガイドラインの作り方」で紹介しています。
手順3:管理者の設定を配る
Claude Codeには、管理者が配る「管理設定」があります。管理設定は、利用者の設定やプロジェクトの設定より優先され、利用者は上書きできません。TeamとEnterpriseでは、claude.aiの管理コンソールから配ることができ、Claude Codeは起動時と一定の間隔でその設定を取りにいきます。PCの管理の仕組み(設定ファイルやレジストリ)で配る方法もあります。
| 強制できること | 会社で使うときの考え方 |
|---|---|
| 権限のルール | 使わせない操作(拒否)と、確認なしで許す操作(許可)を決める。拒否のルールは、どの権限モードでも効く |
| 開始時の権限モード | 新しいバージョンでは、AIが自分で判断して進めるモードが既定の開始モードになっている。非エンジニアの部門では、実行前に人に確認する設定から始める |
| 確認を飛ばすモードの禁止 | すべての確認を省くモードを、組織として使えないようにできる |
| 作業フォルダの外を読ませない | 共有ドライブ全体や関係のないフォルダを読ませないようにする |
| サンドボックス | OSのレベルで、ファイルとネットワークの範囲を分ける。権限のルールだけでは、別の方法で外に通信できる場合があるため、あわせて使う |
| ログイン先の固定 | 会社の組織以外のアカウント(個人のアカウントなど)でログインさせない |
| 外部ツール・モデル | つなぐ外部ツール(MCPサーバー)やプラグインの入手元、使えるモデルを限る |
※ 出典: Claude Code Docs「組織向けに Claude Code をセットアップする」「サーバー管理設定を構成する」「権限モードを選択する」「権限を設定する」(2026年10月時点)。使える項目はバージョンと契約によって異なります。
利用状況の記録も、早めに決めておきます。Enterpriseでは監査ログが使え、OpenTelemetryという仕組みで、どの利用者がどの操作をしたかを社内の監視の仕組みに送ることもできます。
非エンジニアの部門で始めるときの初期設定(当社の研修の標準)
当社のClaude Code研修では、第1回で次の4つの設定を全員の画面で確かめてから使い始めます。管理設定で配っておくと、全員が同じ状態から始められます。
- 作業用のフォルダを1つつくり、その中だけを対象にする(本番の共有フォルダを直接触らない)
- 実行の前に、人の承認を求める設定を既定にする
- 元に戻せる状態(複製、または変更の履歴が残る仕組み)にしてから触る
- 本番のデータは、入力してよい情報の基準を学ぶまで使わない
手順4:社内ルールとCLAUDE.mdを用意する
CLAUDE.mdは、Claude Codeに作業の前提を伝えるためのファイルで、作業を始めるたびに読み込まれます。公式ドキュメントでは「何度も説明し直す内容を書く場所」とされ、組織全体用・利用者用・プロジェクト用など、置き場所によって効く範囲が変わります。組織全体用は管理の場所に置き、利用者は外せません。
部門のCLAUDE.mdには、たとえば次のような内容を書きます。
- 用語:部門で使う略語と正式名称
- 様式:報告書は「結論・根拠・次の対応」の順に書く、金額は税抜で書く、など
- 禁止事項:顧客の個人名を出力に含めない、元の資料を上書きしない、など
- チェック観点:合計は元の表と突き合わせて検算する、など
注意したいのは、CLAUDE.mdは前提を伝えるもので、強制力はないことです。公式ドキュメントでも、確実に止めたい操作は別の仕組み(権限の設定や、操作の前に動く確認の仕組み)で止めるよう案内されています。「元の資料を上書きしない」はCLAUDE.mdにも書き、権限の設定でも止める、という二重にするのが基本です。
※ 出典: Claude Code Docs「Claude があなたのプロジェクトを記憶する方法」(2026年10月時点)。
手順5:研修で伝えて始める
設定とルールを配っただけでは、使い方は広がりません。なぜその設定なのか、何を入力してはいけないのか、迷ったらだれに聞くのかを、全員に伝えてから始めます。最初は、資料を読ませて一覧表をつくる、表を集計して検算する、といった「読ませる・調べさせる」作業から始め、慣れてから書き換えや自動化に広げます。
非エンジニアが最初に任せやすい作業は、コラム「非エンジニアがClaude Codeで最初に任せる業務5つ」で紹介しています。
導入でつまずきやすい点
| つまずき | 先に確かめること |
|---|---|
| インストールできない | 会社のPCでソフトを入れる権限と、社外への通信の制限。情報システム担当と一緒に確かめる |
| 個人のアカウントが混ざる | ログイン先を会社の組織に固定する設定を配る |
| 利用量の上限にすぐ届く | 資料の大量処理をする人だけ、利用量の多い席にする |
| 監査の要件を満たせない | 監査ログが社内の規程で必要なら、Enterpriseを検討する |
| 使う人と使わない人の差が開く | うまくいった指示とCLAUDE.mdを、部門で共有する置き場所を決める |
当社のClaude Code研修
当社のClaude Code研修(法人向け)は、非エンジニアを含む社員が、Claude Codeを自分の業務で安全に使えるようにする全6回(約3ヶ月・計18時間)の研修です。第2回を情報セキュリティの必修回とし、上で紹介した初期設定と、入力してよい情報の判断基準を全員で身につけます。管理者の設定や社内ルールづくりは、研修の前後で貴社の情報システム担当と一緒に進めます。料金は1名40万円(税別)で、人材開発支援助成金の対象になる場合があります。
AIの利用全体の情報管理は、AI利用の情報漏洩対策・セキュリティ体制づくりでご紹介しています。