課題(ヒアリングで分かったこと)

この支援先では、毎日の成果の分析とクライアント向けの改善レポートの作成に、1日3時間かかっていました。媒体ごとにデータを取り出して表にまとめ、前の日や前の週と比べ、変化の理由を考えて文章にする。担当するクライアントが増えるほど、分析と報告に1日の多くを取られ、改善の提案を考える時間が残りにくくなります。

作った仕組みと画面イメージ

作った仕組み

  • データの自動取得 — 各媒体のレポートを毎日取得し、1つの表にまとめる
  • 異常の検知と要因の候補 — 普段と違う動きを見つけ、分け方を変えて要因の候補を挙げる
  • レポートの下書き — クライアント向けのレポートを下書きする
広告レポートの画面イメージ。住宅設備E社の1日分として、検索広告・SNS広告A・SNS広告B・ディスプレイ広告の費用・表示回数・クリック・成約・成約単価と過去14日の平均からの変化の表があり、成約単価が52%上がったSNS広告Aに異常の印が付いている。下に、LP別・原稿別・クリック単価の3つの要因の候補と、担当者の確認待ちのレポートの下書きが並んでいる
広告の日次分析の画面の例。異常の要因は分け方を変えて候補を出し、レポートは担当者の確認待ちの下書きとして置かれます。画面はイメージです(データは架空)

異常検知のルール(例)

「異常」とみなす基準は、人が決めて仕組みに渡します。指標ごとに、何と比べるか、どこからを異常とするか、印が付いたら人が何を確かめるかを決めておきます。

表は横にスクロールできます

指標比べ方異常とみなす例人が確かめること
成約単価過去14日の平均と比べる平均より30%以上高いどの分け方で悪化しているか。LPや原稿の変更がなかったか
成約数費用が出ているかと合わせて見る費用が出ているのに成約が0件計測の設定が外れていないか
費用(消化)1日の予算と比べる予算を大きく超えた、または大きく届かない入札や配信の設定の変更
クリック率原稿ごとに過去14日の平均と比べる平均の半分を下回った原稿の見られ方、配信先の変化
表示回数前の日と比べる急に大きく減った審査による配信の停止、予算の上限
成約率(LP別)LPごとに過去14日の平均と比べる平均より大きく下がったLPの改修や表示の不具合

※基準の数値は説明のための例です。媒体や商材ごとに、過去のデータを見て決めます。

データの流れ(入力・AI・人の分担)

表は横にスクロールできます

段階と入力AIと仕組みがやること人がやること
データの取得入力: 各媒体のレポート(費用・表示・クリック・コンバージョンなど)毎日自動で取得し、1つの表にまとめるなし(自動)
異常の検知入力: 日次の数字普段と比べて大きく動いた指標を見つける「異常」とみなす基準を決める
要因の分析入力: 異常が出たキャンペーンのデータ媒体・キャンペーン・原稿・LPなどに分けて、要因の候補を挙げる候補を確かめ、予算の配分や原稿の差し替えを決める
レポート入力: 分析の結果クライアント向けのレポートを下書きする数字と表現を確認し、提案を加えて送る

要因の分析で大事なのは、分け方です。当社の広告運用の分析デモでは、媒体別に見るとSNSが最も悪化しているように見えても、LP別に分け直すと原因はLPの改修だった、という例を試せます。AIには複数の分け方で比べさせ、人は「どの分け方で見た結論か」を確かめてから判断します。

効果

広告の分析とレポート作成は、1日3時間から20分(約9割減)になりました。空いた時間は、クリエイティブの改善や新しい施策の提案に使われています。

※効果は業務内容・体制により異なります。

つまずきやすい点・注意点

  • コンバージョンの数え方は、媒体ごとに違うことがあります。媒体の数字をそのまま足さず、自社で使う定義を決めてから比べます。
  • AIが挙げる要因は仮説です。予算を動かす前に、根拠になった数字を人が確かめます。
  • 基準が厳しすぎると印が増えて見なくなり、緩すぎると見落とします。印が付いた件数と、実際に対応が必要だった件数を見比べて、基準を直していきます。

担当者より

広告の分析で意識したのは、AIに「答え」ではなく「候補」を出させることです。予算の配分や原稿の差し替えは、お金と表現にかかわる判断なので人が決めます。その代わり、候補に根拠の数字と「どの分け方で見た結論か」が添えられていれば、担当者は短い時間で確かめられます。

レポートの下書きも同じです。数字の動きを説明する文章までは仕組みが書けますが、クライアントの事情を踏まえた提案を加えるのは担当者です。この分担は崩さないようにしています。

株式会社クロスタ 担当コンサルタント

自社で始めるなら最初の一歩

先週分の広告レポートを各媒体からCSVで書き出し、AIに「大きく動いた指標と、考えられる要因」を出させてみてください。担当者の見立てと比べて同じ結論に届くか、見落としていた分け方がないかを確かめると、どこまで任せられるかが分かります。

このフォルダにある先週分の広告レポート(媒体ごとのCSV)を読んでください。 1. 前の週と比べて大きく動いた指標を、媒体・キャンペーンごとに挙げる 2. それぞれについて、考えられる要因の候補を、根拠の数字とともに3つまで 3. 媒体別に見た場合と、LP別・原稿別に見た場合で結論が変わるものがあれば指摘する 推測の部分は、推測と明記してください。