課題(ヒアリングで分かったこと)
この支援先では、案件ごとに行う相手企業のリサーチと提案資料の作成に、1案件あたり40分以上かかっていました。担当者は毎日複数の案件を抱えており、リサーチの時間が、商談の数を増やせない原因になっていました。
リサーチは、会社概要を読み、最近の発表を探し、業界の事情を踏まえて課題の仮説を立て、聞くことを決める、という作業の積み重ねです。1件ごとに一から調べていると、そのたびに時間がかかります。
作った仕組みと画面イメージ
作った仕組み
- 業種・企業規模ごとの調べ方の型 — 何を・どの順に調べ、何をヒアリングで聞くかを、Claude Code向けの指示の型にする
- 一次調査 — 型に沿ってWeb上の情報を集め、商談前に読む調査結果としてまとめる
- 提案資料のたたき台 — 一次調査をもとに提案資料のたたき台を作り、担当者が最終調整する

AIが出したリサーチ結果(例)
1社分のリサーチ結果は、次のような一覧になります。AIが出した内容の横に、担当者が確かめることを並べると、どこに人の目が要るかがはっきりします。
表は横にスクロールできます
| 項目 | AIが出した内容(例) | 担当者が確かめること |
|---|---|---|
| 会社概要 | 関東を中心に倉庫5拠点。食品・日用品の保管と配送。自社便と協力会社を併用 | 拠点数などを会社サイトの最新の情報で確かめる |
| 事業の特徴 | 小売チェーン向けの店舗配送が中心。夜間・早朝の配送に対応 | 同じ名前の別の会社の情報が混ざっていないか |
| 最近の動き | 新しい物流センターの稼働を発表。ドライバーの採用ページを拡充 | 発表の日付。古い情報を「最近」として扱っていないか |
| 想定される課題 | 拠点の増加による配車の属人化、労働時間の上限への対応(公開情報からの推測) | 推測と事実が分けて書かれているか。商談で確かめる仮説として扱う |
| ヒアリングで聞く項目 | 配車は誰が何を見て組んでいるか/新しいセンターの稼働後の配送件数の見込み/ドライバーの労働時間の管理方法 | 提案につながる順に並べ替え、聞きにくい項目の言い回しを直す |
| 提案の切り口 | 配車の組み方をそろえ、担当者による差を減らす提案 | 提案の方向を決め、資料の表現を直す |
※架空の会社を例にした一覧です。
データの流れ(入力・AI・人の分担)
表は横にスクロールできます
| 段階と入力 | AIがやること | 人がやること |
|---|---|---|
| 一次調査入力: 相手の会社名・URL・業種・規模 | 業種と規模に合った型に沿って、Web上の情報を集めて整理する | 調べる会社と業種を指定する |
| 資料のたたき台入力: 一次調査の結果 | 提案資料のたたき台を作る | 事実を確かめ、提案の方向を決めて資料を仕上げる(最終調整) |
効果
1案件あたりのリサーチと資料作成は、40分から15分(約6割減)になりました。担当者の時間は、調べて書く作業から、調査結果を確かめて提案を仕上げる作業に移り、資料の最終調整に集中できるようになっています。
※効果は業務内容・体制により異なります。
つまずきやすい点・注意点
- Web上の情報には、古いものや誤りが混ざります。数字と日付は出典を開いて確かめ、推測の部分は推測と分かるように書かせます。
- 同じ名前や似た名前の会社の情報が混ざることがあります。所在地や事業内容で同じ会社かを確かめます。
- 相手企業の担当者個人のSNSなど、商談に必要のない個人の情報は調べさせません。
- 型は、業種や商材が変わったら見直します。商談で実際に聞かれたことや響いたことを型に反映すると、調べる項目が実態に近づきます。
自社で始めるなら最初の一歩
来週の商談から3件を選び、次のような指示でAIにリサーチさせてみてください。担当者が自分で調べた内容と比べると、型に足りない項目と、人が確かめるべき点が分かります。うまくいった指示は、業種ごとの型として残します。
担当者より
この支援で重視したのは、時間を減らすことと同じくらい、調べる内容をそろえることでした。何をどこまで調べるかが人によって違うと、商談の準備の質もばらつきます。業種と企業規模ごとに型にしたのはそのためで、型があれば、担当者が変わっても同じ観点で準備しやすくなります。
一方で、AIに任せるのは「調べて並べる」までです。確かめて、提案に仕立てるところは担当者の仕事として残しています。
株式会社クロスタ 担当コンサルタント