「SNSで会社の悪口が拡散している」「匿名掲示板に誹謗中傷が投稿されている」そのようなお悩みを抱える企業や個人事業主は増えています。本記事では、ネット誹謗中傷の定義から、削除方法5つ、犯人特定の方法、法的手段、そして予防策まで、風評被害対策のプロが2026年版として徹底解説します。万が一の際の対応方法を事前に理解しておくことが重要です。

ネット誹謗中傷とは?企業への影響と現状

近年、SNSや匿名掲示板の普及に伴い、ネット誹謗中傷によって企業や個人の名誉が傷つけられるケースが急増しています。一度ネット上に拡散した悪質な情報は、削除しても完全には消えず、企業のブランド価値や売上に深刻な影響を及ぼします。

誹謗中傷の定義と法的位置づけ

誹謗中傷とは、特定の個人や企業に対して、根拠のない悪口や嘘の情報を流布し、名誉を傷つける行為です。インターネット上で公開されるため、多くの人の目に触れ、被害が短時間で拡大する特性があります。

法的には、以下の犯罪に該当する可能性があります:

  • 名誉毀損罪(刑法230条):公然と事実(真実であるかどうかを問わず)を摘示し、人の名誉を傷つける行為。懲役3年以下、禁錮3年以下、または罰金50万円以下。
  • 侮辱罪(刑法231条):公然と人を侮辱する行為。懲役3年以下、禁錮3年以下、または罰金50万円以下。
  • 信用毀損罪(刑法233条):虚偽の風説を流布し、人の信用を傷つける行為。懲役3年以下または罰金50万円以下。

これらの違反者は、民事責任として慰謝料請求の対象にもなります。

企業が受ける被害の実態(売上低下、採用難、株価への影響)

ネット誹謗中傷による企業被害は多岐にわたります。

  • 売上低下:会社名やサービス名を検索した際に悪評が表示されることで、新規顧客の獲得が困難になり、売上が減少します。
  • 採用難:就職サイトや口コミサイトでの悪評が広がることで、優秀な人材の採用が難しくなります。
  • 株価への影響:上場企業の場合、誹謗中傷による企業イメージの悪化が株価に直結します。
  • 顧客信頼の喪失:既存顧客の流出やクレーム増加につながります。
  • 従業員のモチベーション低下:会社が誹謗中傷されることで、従業員の士気が低下し、離職につながる場合もあります。

誹謗中傷が増加している背景

ネット誹謗中傷が増加している理由として、以下の要因が考えられます:

  • SNSの利用者増加:X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNSが日常的に使用されるようになり、気軽に発言できる環境が増えました。
  • 匿名性の悪用:匿名掲示板などで身元が明かされない環境では、無責任な発言が増えやすくなります。
  • 情報の瞬時の拡散:SNSで一つの発言が数時間で数万人に拡散する可能性があり、その影響力が飛躍的に増しています。
  • AIの発展による偽情報:AIにより生成された偽動画や画像が拡散される事例も増えています。
  • 社会的背景:経済格差の拡大やストレス社会の中で、攻撃的な発言が増加傾向にあります。

ネット誹謗中傷の主な発生プラットフォーム

誹謗中傷は様々なプラットフォームで発生します。企業が対策を講じるには、どのプラットフォームが狙われやすいのかを理解することが重要です。

SNS(X・Instagram・TikTok)

SNSは利用者が非常に多く、拡散速度が速いため、誹謗中傷の温床となりやすいプラットフォームです。特にX(旧Twitter)では、リツイート機能により一つの投稿が数万人に拡散される可能性があります。企業の不祥事やサービスの問題が投稿されると、瞬時に大きな話題となり、企業イメージが大きく損なわれます。

対策としては、SNS監視ツールを導入し、早期に悪評を発見することが重要です。

匿名掲示板(5ちゃんねる・爆サイ等)

5ちゃんねるや爆サイなどの匿名掲示板では、身元が明かされないため、より悪質な誹謗中傷が投稿される傾向があります。これらのプラットフォームの利用者は多く、特にB2Cビジネスを営む企業が標的になりやすいです。

匿名掲示板の削除申請は難しい傾向がありますが、法的手段や削除専門業者の支援を受けることが有効です。

口コミサイト(Googleマップ・転職サイト等)

Googleマップの口コミ欄、食べログ、ぐるなび、転職会議などの求人・口コミサイトでは、ユーザーが星評価とともにレビューを投稿できます。これらのサイトは検索結果の上位に表示されやすく、企業選択の判断材料として参照されるため、悪評の影響力が大きいです。

Googleマップなどは削除申請が比較的容易ですが、虚偽であることの証明が必要な場合があります。

ブログ・個人サイト

個人ブログやはてなブログなどで、特定の企業に対する長文の誹謗中傷記事が投稿されることがあります。特に元従業員による内部情報を基にした批判は、信憑性が高いと思われやすく、検索結果の上位に表示されることで大きな被害につながります。

これらのサイトは削除依頼に応じづらいことが多いため、法的手段が必要になる場合があります。

誹謗中傷を削除する5つの方法

ネット上の誹謗中傷に対応するには、複数の削除方法を理解し、状況に応じて最適な対策を組み合わせることが重要です。以下の5つの方法をそれぞれ解説します。

①サイト管理者への直接削除依頼

最も基本的で、かつ迅速な対応方法は、投稿が掲載されているサイト管理者に直接削除を依頼することです。

  • メリット:無料で対応でき、管理者が応じてくれれば数日以内に削除される場合が多い。
  • デメリット:返信がない、削除を拒否されるなど、必ずしも成功するとは限らない。特に匿名掲示板では応じてくれないことがほとんど。
  • 手順:サイトの「お問い合わせ」や「削除依頼」ページを探し、投稿内容が誹謗中傷であることを丁寧に説明し、削除を請求します。

②送信防止措置請求(プロバイダ責任制限法)

送信防止措置請求(旧名:削除依頼)とは、プロバイダ責任制限法に基づき、サイト管理者やプロバイダに対して法的に削除を請求する方法です。

  • メリット:法的根拠があるため、直接依頼より応じてもらいやすい。費用は低い。
  • デメリット:送信防止措置請求書の作成に法的知識が必要。審査期間は2週間〜1ヶ月程度。
  • 対象:名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪に該当する投稿。
  • プロセス:弁護士を通じて、認定する法律に基づき送信防止措置請求書をサイト管理者に送付。

③裁判所への仮処分申立て

仮処分申立てとは、本裁判を待たずに、緊急の必要がある場合に裁判所に仮の処分を求める手続きです。

  • メリット:最短数日で削除の仮処分が下される場合があり、迅速に対応できる。法的強制力がある。
  • デメリット:弁護士費用が高額(30万円〜100万円以上)。審査が厳格で、申立てが却下される場合もある。
  • 適用条件:削除の必要性が高い緊急性のあるケース。例えば、営業妨害で大きな損害が発生する場合など。

④発信者情報開示請求

発信者情報開示請求は、プロバイダやサイト運営者に対して、投稿者のIPアドレスやログイン情報を開示させ、最終的に発信者の氏名や住所を特定する手続きです。

  • メリット:犯人を特定できれば、民事責任(慰謝料請求)や刑事告訴が可能になる。再発防止効果が高い。
  • デメリット:手続きに3〜6ヶ月かかる。弁護士費用が必要(30万円〜)。発信者情報が削除されている場合は特定できない。
  • 対象者の範囲:直接の投稿者だけでなく、誹謗中傷を共有・リツイートした者も対象になる可能性があります。

⑤風評被害対策会社への依頼

風評被害対策の専門会社に依頼することで、複雑な対応を一括で処理できます。

  • メリット:削除依頼から法的手続きまで、専門家が一貫してサポート。迅速かつ効果的な対応が期待できる。複数の投稿に同時対応できる。
  • デメリット:月額数万円〜数十万円の費用がかかる。結果が必ず保証されるわけではない。
  • 主なサービス内容:誹謗中傷のモニタリング、削除依頼の作成・送付、弁護士手配、法的手続きの支援。
削除方法 費用 期間 成功率 推奨対象
直接削除依頼 無料 数日~2週間 低~中 SNS、ブログ(小規模)
送信防止措置請求 低(弁護士利用で5~20万) 2~4週間 サイト管理者が存在する全て
仮処分申立て 高(30~100万+) 数日~2週間 中~高 緊急性が高く損害が大きい場合
発信者情報開示請求 高(弁護士利用で30万+) 3~6ヶ月 犯人特定が必要な場合
対策会社依頼 中(月額数万~十万) 1~3ヶ月 複数投稿、継続的対応が必要な場合

誹謗中傷の犯人を特定する方法

誹謗中傷の被害を根本的に解決するには、犯人を特定し、法的責任を問うことが重要です。以下のプロセスで犯人の特定が可能です。

発信者情報開示請求の流れ

発信者情報開示請求は、以下のステップで進みます:

  1. 証拠の確保:誹謗中傷投稿のスクリーンショット、URL、投稿日時などを記録します。
  2. 弁護士への相談:弁護士に相談し、法的な妥当性を判断します。
  3. 第1段階:サイト運営者への開示請求:まずサイト運営者(掲示板管理者、SNS企業など)にIPアドレスやログイン情報の開示を請求します。
  4. 第2段階:プロバイダへの開示請求:サイト運営者から取得したIPアドレス情報を基に、そのIPアドレスを割り当てているプロバイダに対して、契約者情報の開示請求をします。
  5. 発信者の特定:プロバイダから提供された情報により、投稿者の氏名、住所、電話番号などが判明します。
  6. 法的措置:特定後は、民事責任(慰謝料請求)や刑事告訴が可能になります。

改正プロバイダ責任制限法(2022年施行)のポイント

2022年10月1日、プロバイダ責任制限法が改正され、発信者情報開示請求の手続きが大きく変わりました。主なポイントは以下の通りです:

  • 裁判所を経由しない開示請求が可能:これまでは裁判所の判断が必須でしたが、改正後はサイト運営者やプロバイダと合意できれば、裁判所を経由しない開示請求が可能になりました。
  • 発信者保護の強化:一方で、発信者の権利保護も強化され、プロバイダは発信者に開示予定であることを事前通知する義務が生じました。
  • 手続きの簡潔化:1段階の開示請求で複数の情報(IPアドレスと契約者情報)を同時に取得できるようになりました。
  • 開示期間の延長:プロバイダがIPアドレス等のログを保有する期間が3ヶ月から6ヶ月に延長されました。

改正により、迅速かつ効率的に発信者情報を取得できるようになり、企業の被害救済が容易になりました。

犯人特定後の法的措置

犯人が特定された後の法的措置には、以下のオプションがあります:

  • 民事訴訟による慰謝料請求:不法行為に基づき、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。相場は50万円〜300万円程度(記事内容や被害の度合いによる)。
  • 刑事告訴:警察に対して名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪で告訴し、刑事処罰を求めることができます。
  • 差止め請求:継続的な誹謗中傷に対して、今後の投稿を禁止する仮処分を裁判所に申し立てることができます。
  • 示談交渉:相手と直接交渉し、謝罪と金銭賠償で解決する方法もあります。

誹謗中傷を未然に防ぐ予防策

誹謗中傷の被害を最小化するには、事前の予防策が重要です。以下の対策を講じることで、リスクを大幅に低減できます。

モニタリングツールの導入

インターネット上で自社や代表者に関する言及をリアルタイムで検知するモニタリングツールを導入することで、誹謗中傷が拡散する前に早期発見が可能になります。

主なツールには、Google Alerts、SNS監視ツール(Brand Monitoring)、専門的な風評被害監視サービスなどがあります。誹謗中傷が発見された場合、迅速に対応することで被害を最小化できます。

社内SNSポリシーの策定

従業員がSNSで企業情報を発信する際のルールを定めたSNSポリシーを策定することで、不用意な情報漏洩や炎上を防ぐことができます。

ポリシーには、社外秘情報の発信禁止、顧客情報の保護、不適切な発言の禁止、問題発生時の報告義務などを含めることが重要です。従業員教育も合わせて実施することで、より効果的になります。

顧客対応品質の向上

誹謗中傷の多くは、顧客が企業サービスに不満を持った際に発生します。顧客対応の品質を向上させることで、不満を最小化し、誹謗中傷のリスクを低減できます。

  • 問題発生時の迅速で丁寧な対応
  • 顧客相談窓口の充実と24時間対応体制の構築
  • SNS上の否定的なコメントへの誠実な対応
  • 製品品質とサービス水準の継続的改善
  • 顧客満足度調査の定期実施

これらの対策により、顧客満足度が向上し、結果的に誹謗中傷のリスクも低下します。

誹謗中傷対策でよくある質問(FAQ)

Q1. 誹謗中傷かどうかの判断基準は?

A: 誹謗中傷かどうかは、主に以下の3要素で判断されます。(1)事実か意見かの区別:事実の摘示が名誉毀損罪となるのに対し、意見表現は広く保護されます。(2)公開範囲:不特定多数に公開されている場合が対象。(3)被害の程度:軽微な批判や冗談は誹謗中傷に該当しない可能性があります。判断に迷う場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

Q2. 削除申請をしたのに返信がない場合は?

A: 複数の対応方法があります。(1)別の連絡方法を試す:メール以外にも問い合わせフォーム、SNS DM、電話など異なる方法で再申請。(2)送信防止措置請求書を作成する:法的根拠のある正式な請求書を弁護士と共に送付。(3)対策会社に依頼する:複数の方法を並行して進めてくれます。(4)法的手段を検討する:仮処分申立てなど。

Q3. SNS企業(TwitterやInstagram)に削除請求する場合の流れは?

A: ほとんどのSNS企業は、プラットフォーム内に「報告」または「削除リクエスト」機能を備えています。投稿を開き、「…」メニューから「報告する」を選択し、「嫌がらせ」「スパム」「誹謗中傷」などのカテゴリを選択します。詳細を記入し、送信すれば、24時間〜数日以内に審査されます。SNS企業は誹謗中傷に対して厳格な対応方針を持つため、適切に報告すれば削除される可能性は比較的高いです。

Q4. 元従業員による誹謗中傷の場合の特別な対応は?

A: 元従業員による誹謗中傷は、企業秘密や内部情報が含まれる場合があり、特に悪質です。対応としては、(1)企業秘密が含まれている場合は営業秘密侵害罪での告訴も検討、(2)不正競争防止法に基づく対応、(3)名誉毀損に加えて損害賠償請求の金額を上積みする、などが考えられます。弁護士と相談し、状況に応じた最適な対応を選択することが重要です。

Q5. 誹謗中傷対策の予算が限られている場合は?

A: 限られた予算内での対策を優先させましょう。(1)モニタリングツール(無料版もあり)で早期発見に注力、(2)自社で直接削除依頼を試みる、(3)弁護士による無料初期相談を活用して法的なアドバイスを得る、(4)重大な被害が発生した場合のみ弁護士や対策会社に依頼する、といった段階的なアプローチが有効です。大企業でない限り、すべての対策を同時に実施する必要はありません。

ネット誹謗中傷対策についてプロに相談したい方へ

株式会社クロスタでは、貴社の状況を詳しくヒアリングした上で、最適な誹謗中傷対策戦略をご提案します。削除依頼から法的措置まで、一貫したサポートが可能です。まずは無料相談をご利用ください。

無料相談を申し込む

関連記事